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司書教諭お悩みあるある「学校図書館の本ってどう選べばいいの?」

先日、知り合いから「今年から学校図書館の担当になった💦」という連絡をいただきました。
彼女は、学校図書館に関わるのは初めて。

さて、困りました。
普段、何気なく利用していた学校図書館を運営しないといけないのです。
まず頭を抱えたのは、新年度早々届く出版社からの大量のカタログ。

そう、司書教諭のメインの仕事のひとつ、それは選書(本を選んで購入するお仕事)。
「予算内で」「バランスよく」「子どもたちのためになる」ものを。

さぁ。この難しいミッション、どうクリアする?!

目次

ミッション1 予算内で購入せよ!

学校によってばらつきはありますが、
その学校の児童数に応じて予算が割り振られているはずです。
せっかくなので、効果的に予算を使いたいですよね。
どんな買い方をしたらよいか、経験や大先輩の教えをもとにまとめました。

セット・シリーズ売りには要注意

学校に届くカタログにどーんと載っているのが、
「20◯◯年 おすすめ図書セット」
「調べ学習に最適!◯◯シリーズ」
の文字。
何を買えばいいかわからないと、こんな風にまとめてくれているものを選びがちです

しかし、これはちょっと危険かも?
カタログに載っている本は、あくまでも各出版社が売りたい・おすすめの本をまとめたもの。
それぞれの学校に最適なわけでも、その年の最新刊詰め合わせでもありません。

セット・シリーズ売りの注意点

 学習シリーズの場合、すべての種類が授業で必要とは限らない。
 似たような内容の本が揃ってしまいがち。

そうは言っても、自分で一から選ぶのは大変!という場合もありますよね
というわけで、カタログをもとにして選ぶ際のワンポイントアドバイス!

カタログについてくるチラシを活用せよ!
 カタログより新しいものが載っている。
 そのときの時流に沿ったものをおすすめしてくれている。
 本の一部を掲載してくれていることが多い。

購入時期は最初に割り振るべし

チラシを中心に選んでいたら、絵本ばかりがどんどん増えていく。
なんてことが、割とよくあります。
あとから「授業で使う◯◯の本が欲しいんですが」と言われ、いざ買おうと思っても予算が…。
えぇ。これ、初の選書で私がやらかしたことです。

後ほど説明しますが、図書は0〜9番まで分類されており、それらをバランスよく購入する必要があります。

1年間、どの時期に本を購入するか。
最初にある程度決めておくと余裕をもって本を買うことができますよ

ちなみに私は大まかに4回に分けて購入しています。(この時期以外にも新刊などちまちま買いますが^^)

購入時期本の内容選書方法
4月下旬〜5月子どもの興味をひけるもの👦新年度の見本図書を参考に。
6月下旬夏休みに向けて🌻インターネットや書店店頭中心。
11月冬休みに向けて⛄️夏にあるブックフェアを参考に。
1月最後の調整  💰学校にある本の最新刊などの確認

ミッション2 バランスよく購入せよ!

分類を意識して買うべし〜絵本も上手に分類しよう〜

先ほどちらっと書きましたが、図書館の本は0〜9番まで分類されています。(下の表、とってもわかりやすい!)

引用:子どもの本の「国土社」HPより

こんな風に分けられている本ですが、学校図書館蔵書の配分比率の目安があります!
私は、司書教諭になりたての2年間、この存在を知らなかった…。
目安があると、購入するときかなり楽になるので、ぜひ参考にしてみてください🎵

引用:公益社団法人全国学校図書館協議会「学校図書館メディア基準」より

さて、この配分比率。
もともと多く配分されている「9文学(絵本含む)」は特に意識しなくても達成されていきます。

しかし、それ以外は意識的に購入していかないとかなり比率が下がってしまいます。
ここで活用して欲しいのが絵本📗

例えば、「4自然科学」には図鑑などが多く配架されると思いますが、そればかりでは不十分。
そこで活用して欲しいのは「自然現象をテーマにした絵本」や「実験の絵本」⭐️

低学年、特に1年生でも手に取れるのでおすすめです。

「ゴロゴロ」という音で子どもを驚かせる雷を、美しい写真で表現。思わず目を奪われます。

『かみなり 』(ふしぎいっぱい写真絵本シリーズ)
 妹尾堅一郎/監修 
 音羽電機工業「雷写真コンテスト」/著
 偕成社/出版社

2つのものが水に沈む?浮かぶ?と比べるシンプルな本!以外と大人も引っかかる(笑)読み聞かせにも◎

『うかぶかな?しずむかな? 』
 川村 康文/著 遠藤 宏/写真
 岩崎書店/出版社

重点購入計画を3年建てると心穏やかに

そうは言っても、蔵書配分比率表で一桁の分類は、本当に増えていかない😂
なので、先輩から教わった選書の仕方!

3年先までの(大まかな)重点購入計画を立てておく!!

重点分類番号具体例
20230・4・7・8総記(調べ方),保健体育,科学絵本,道徳絵本(SDGs),職業,外国語
20243・7・5情報(国際情報),地理,手芸,図工,食育
20257・4・5・3料理,音楽,図鑑更新,福祉,性教育
20261・2・6図鑑更新・物流・情報(モラル教育・新しい技術)

大まかに「こういう本を買おう!」と決めておくだけで、かなり本が選びやすくなるから良き。
さらに奥の手。
地域の図書館に行って、「◯◯(重点)について書かれた小学生向けの本ってありますか?」と聞く!
これは最強です😆

ミッション3 子どものためになるものを選べ!

子どもの好みを探ろう

学校図書館は「子どものため」を考えて作られた特殊は空間。
個人的には、本当に夢のある空間だと思っています。
事実、管理人かかちも、図書館という空間に守られたり救われたりして大人になりました。

だから、まずはその学校の子どもたちの好みを探りたいところ。
しかし、子どもたちは大人ほど本の知識を持っていません。
「どんな本を買って欲しい?」と問いかけても、

今までに読んだことがある本(ほとんどは学校にある本)
アニメなどになっているメジャーな漫画

これらが大半を占めます(経験済み)。
つまり、購入の参考にあまりならない…。

そこで、実施して効果があった方法をご紹介🎵
『地域の書店に協力してもらって新刊並べちゃおう作戦』


新年度、教師用見本図書として出版社が持ってきてくれる本を一時的に借り受け、
児童用に展示させてもらうのです🎵
展示されている本は手に取ることはもちろん、購入して欲しい場合はリクエストこともできる!
直接子どもたちが選書できる貴重な機会なのです✨

このやり方はメリットが大きくて、個人的にも大助かり⭐️

子どもたちがどんな本を手に取るかがわかる
子どもの好みの本を即購入できる。
子どもたちは「自分が選んだ本が学校図書館に入った!」と満足感を得られる。

書店や出版社の協力が必要ではありますが、
本の購入を約束することでWINWINにもなり得ます。
ぜひ、お近くの書店に声をかけてみてください😄

そもそも、ためになる本って?

さきほど、子どもたちに「何を買って欲しい?」と投げかけたときに、「アニメなどになっているメジャーな漫画」が上がってきました。
漫画、いいですよね。かかちも、大好きです💕
では、学校図書館に漫画を入れると考えたらどうでしょう?

実はこれ、はっきりとした判断基準を示しにくい部分なのです。
学校図書館を担当になった方のセンスや考え方が大きく反映されるといってもいいですね。
では、毎年、予算を何万円も使って「流行りの漫画」を買ったとしたら?
これは、なんとなくNGな雰囲気を感じるのではないでしょうか。

明確に示すことはできないにしろ、「なぜ、この漫画を買ったの?」と聞かれたときの説明は必要はあると思います。
基準となるのは、学校図書館の意義である「子どもたちのために」。

NGな回答
「流行っているから。」
「楽しい・楽しそうだから。」
「子どもたちからリクエストがあったから。」

この回答での選書は、漫画が娯楽としての価値しか生んでいません。
娯楽としてならば、漫画ではなく児童書や絵本を購入していく必要がありますね。
今後の投稿で漫画の選書について詳しく触れていきますが、
かかちが大切にしているのは

その漫画は「娯楽」以上の「学び」があるのか?(分類番号を与えられるか?)
家庭で手に取りにくいものか?

この2点!
選書さえしっかりとしていれば、漫画も有効な学びの場となりますよ!!

おわりに〜あの子の顔を思い浮かべて…

普段、多くの業務に追われていると、選書のために時間を割けない!という方も多いかもしれません。
でも、実は慣れてくるととっても楽しい作業です。

今まで揚げてきたポイントは確かに有効ではあります。
実際に私もかなり参考にしています。

しかし、最後の最後。
私は子どもたちの顔を思い浮かべています。

「あの子、車好きだったな〜。」
「そういえば、◯◯さんは動物を飼い始めたって言っていたな。」
「◯◯さんは、イラストを描くのが好きだけど、色々なポーズを描くのが苦手って困っていたな。」

そんなふとした子どもたちの様子を思い浮かべて、
その子達の喜ぶ顔を思い浮かべながら本を選ぶというのは、とても幸せは時間です。

大変な作業かもしれませんが、選書を楽しんでいきましょ〜!!

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