おばんです。学校図書館の先生、かかちです。
学校図書館を担当していて、選書は最も頭を悩ませる場面ではないでしょうか?特に、児童生徒からのリクエストが多いであろう漫画の扱い!
そこで、今回は「漫画って公費で購入していいんか?」問題について、かかちなりの考え、そしておすすめ漫画もご紹介していこうと思います。
学校で漫画って購入していいの?の答え
答えはイエスです。小中学校に漫画って必ずありましたよね。
かかちの年代ですと、「ブラックジャック」や「火の鳥」。中学校なら「あさきゆめみし」あたりが定番かな?
(え?知らない?それはもう…世代かしら)
しかし、最近は割と学校図書館に漫画が配架されている印象です。
「ワンピース」「ナルト」「鬼滅の刃」といった、海外版も出版されているような作品は、割と購入している学校も多いのではないでしょうか。
そう、実は漫画の判断基準って学校に任されていて、これと言った線引きがないんです。学校図書館の担当や、最終チェックをする責任者によりけり…ということ。
だから、「最近流行っているあの漫画を入れたら子どもたちが喜ぶ!」と購入することも可能🎵
漫画を購入するときの壁
ですが!!ここでちょっと待った〜😂
人気作品の購入、いいんですよ!いいんですが…ちょっと学校図書館の役割を見てみましょう。
漫画の位置付けは「1:読書センター」の中かな。
ふむふむ。
じゃあ、読書センターにふさわしい本は…
学習への興味関心を呼び起こす
この3つをできるだけ押さえておけばいいんだね!
ということになります。
漫画は、この3つの効果が高いかと言われると…ちょっと弱いのです。
もちろん、漫画を読む時に深掘りすることができれば、「学習への興味関心」につながります。
例えば「ワンピース:尾田栄一郎 作」。
実は、かなり歴史上の人物や背景を組み込んで書かれた緻密な漫画です。読んでいて「あれ?」と思ったことを深掘りして調べると意外な事実がわかったりして、個人的に非常に勉強になりました。
ただ、いかんせん、そういう楽しみ方をする児童生徒は少数派なのです。となれば、「ワンピースじゃなくても、学習への興味関心を高めてくれる本ってあるよね。」となるわけです。
でも、漫画って学校図書館に来てもらうためのきっかけになるよ?
その通り!なのでエンタメ要素が強い作品が完全にアウト
ただ、限られた予算の中で優先順位は低くなりますし、きっかけづくりという役割なら、全巻揃える必要や、いくつも購入する必要も薄い、となるわけです。
学校図書館におきたい漫画の基準
漫画が学校図書館に購入しにくい理由を先ほどお伝えしました。
だったら、「学習」に関連していて、「心に響くような」漫画を堂々と購入すればよいのでは?!
ということで、かかちなりの判断基準はこちら。
学校図書館におすすめ漫画
3月のライオン(1〜17巻2024.12現在連載中)
「強く」なればなる程
負けた時くやしくなります
むしろかけた時間の分だけ
負けるとくやしいので
進めば進む程くやしくなります
(本文より)
この漫画をおすすめしたいがために、この記事を書いてたと言っても過言ではない(笑)
幼い頃に家族も居場所も失った主人公。彼の職業はプロ棋士。
彼が、優しく寂しい空気を纏う家族と出会ったことで、少しずつ変化していく物語。
この作品が秀逸なのは、将棋に興味をもってもらうという意味でも、将棋を深く知るという意味でも素晴らしいこと。人間ドラマが本当に身近な世界観で描かれていること。
将棋のルールの説明をしている場面では、「登場人物が絵本を読み聞かせている」設定で進められます。作者が広い世代に将棋を広めたいという気持ちを伝わってくる、とてもわかりやすいルール説明です。
また作中にいじめが出てくる場面では、「だれかが悪ではない。しかし、いじめは許されない。」というメッセージを強く感じますが、表現方法は決して過激ではありません。
登場人物それぞれ(加害者・被害者・周囲の人間など)の気持ちを丁寧に追っているのです。
学校図書館でこの漫画と出会い、心が救われたり、将棋に興味をもったり、夢をもったりできる子どもがいたら素敵だな、と思わせてくれる漫画です。
銀の匙 シルバースプーン(全15巻)
俺達のヒエラルキーは
家畜より下なんスね…。
(本文より)
北海道の雄大な自然に囲まれた農業高校。
都会からやってきた主人公は、そのあまりにワイルドな学校生活に戸惑いながらも、酪農について学んでいきます。主人公が農業高校に入学してから卒業するまでを描いた、青春グラフィティ。
モデルとなっているのは、帯廣農業高校。
酪農だけでなく、農業に関わることに応じて5つもの科を有する、北海道を代表する本格的な農業高校です。
作中には、主人公が通う酪農家以外の科の仲間との交流も描かれており、農業はチームのようにお互いに支え合って動いている様子が伝わってきます。
北海道にいて身近なはずの酪農の裏側、そして食を支えてくれている人たちの存在を改めて知ることができる名作です。
ちはやふる(全50巻)
正々堂々とやって負けて
かっこ悪いことあるかーー!!
(本文より)
小学6年生の少女が出会ったのは、無口な転校生と百人一首。
より早く、より正確に。
詠まれた句に一瞬で反応する競技カルタの世界を知り、夢中になっていく様子が胸を熱くする作品です。
絵柄が可愛らしいのですが、競技シーンは大迫力。
ただ、購入の難点としては巻数が多いこと!
個人的には全巻入れてあげたいのですが、本棚の容量を考えて途中までの購入。
ハイキュー(全45巻)
今のお前は ただの「ちょっとジャンプ力があって素早いだけの下手くそ」だ 大黒柱のエースになんかなれねえ でも俺がいればお前は最強だ!
(本文より)
バレーが大好きだが、小柄な主人公。そんな彼が「小さな巨人」としてエースになるべく駆け抜ける、青春スポーツ漫画。「1人ではとべない。でも仲間がいれば!!」というチーム戦の醍醐味も見事に描かれています。
バレーは小学校から体育で触れる競技ですので、ストーリーを追う中でバレーのルールやゲームメイクのコツも学べるのは良きですね。
巻数が多いのが若干の難点ではあるものの、途中まで入れるだけでもバレーに対する興味を持ってもらえる作品です。現時点で、スポーツ系で入れるとしたら個人的にはこれがおすすめ!
おまけ
購入には至っていないが、内容はとても興味深い!
まさにからだの中で働いてくれている「細胞」を擬人化したお話。中学校で学習する内容がばっちり出てきて、内容も面白い!
出血や戦闘シーンが多いため、小学校だとちょっと購入しにくい。中学校なら購入検討はあり!
真相再編版が出版され、個人的に非常に推しの本なのですが、これを学校図書館に購入できない致命的な点が…当時とバスケットボールのルールが変更されていること!!
なので、口頭でおすすめしまくっている漫画です(笑)
おわりに
いかがでしょう?
今回は小中学校両方におすすめできる漫画をご紹介しましたが、
小学校であれば「サバイバルシリーズ」などの学習系漫画もお勧め😀
少しでも学校図書館に漫画を購入する際の参考になれば幸いです。
表紙や出版社を調べやすいように楽天リンクを貼っています。学校ごとに購入方法が異なるかと思いますので、ご了承ください。
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