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『こんとあき』 を語る

読んだことがある方も多いであろう「こんとあき」。
林明子さんの温かいイラストと、”こん”の”あき”に対する愛情にほっこりする名作。

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こんは めをさまして、
びっくりしました。

「ああ、あかちゃんだ!
あかちゃんて
こんなに ちっちゃくて、
こんなに かわいいなんて
しらなかったな。」
          (本文抜粋)

生まれた時から、あきと一緒に過ごしてきた、きつねのぬいぐるみ”こん”。
あきを安心させようと、こんがくり返し発する言葉があります。それが、「だいじょうぶ だいじょうぶ」。
大人になってからこのセリフが、沁みる沁みる…。

大人になるにつれて、大丈夫じゃないことが増えていきます。
受験、就活、仕事、家事、子育て、介護…。
全部こなさなければ、やり遂げなければと気を張って生活することが当然のように感じてしまいます。

ちなみに、かかちは2人目を出産して復帰したときに「やらねばマインド」ががっちりとセットされ、救急車に乗ることとなりました。
※余談ですが、朦朧とした意識の中でも救急隊員のテキパキさは鮮明に覚えています。すごかったぁ。


が、しかし!!大人になっても、つらいものはつらいし、不安なものは不安です。

そんなときにかかちは、心の中に”こん”を住まわせます。
見た目はきつねではなく、ふわふわで茶色いくまのぬいぐるみ。名前は”ふわちゃ”です。
子どもの頃から持ち歩いていたぬいぐるみで、現在もヨレヨレながら我が家の棚にちょんとおさまっています。

”こん”は、絶対にだいじょうぶじゃない状況でも呟きます。
「だいじょうぶ。だいじょうぶ。」
尻尾がつぶされても、犬に砂の中に埋められても、1人で歩けなくなっても。

だいじょうぶじゃないときほど、心を込めて呟きたい。
「だいじょうぶ。だいじょうぶ。」

勉強がうまくいかなくても、
仕事で失敗して悔しい思いをしても、
子育て中に明日がくるのがこわくなっても。

きっと、だいじょうぶ。
わたしは自分で自分に言うのが少し気恥ずかしいので、”ふわちゃ”に言ってもらいます。

それは、「我慢できるでしょ。」「これくらい耐えられるでしょ。」のだいじょうぶではありません。

「あなたをずっと見ているよ。」
「あなたを思っているよ。うまくいく方法を一緒に考えよう。」
「1人じゃないよ。」
の、だいじょうぶ。そうして、心を落ち着けて、本当にだいじょうぶになる方法を考えます。

そうして「なんとかなるさ」とまた一歩踏み出して、気づけば40歳。

もうだめかも…と自分にとっての「だいじょうぶ」が揺らぎそうになったら、またこの絵本に戻ってくる。
そういう、心のねっこを支えてくれている絵本なのです。



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