ようこそ、図書室参観日へ。
普段、図書室での出来事を目にする機会は滅多にないかと思います。
でも、図書室でも静かに子どもたちのドラマが展開されています。
さて、今日はどんな様子が見られるでしょうか?肩の力を抜いて、ゆっくりとのぞいていってくださいね。
「どれ借りたらいいの?わかんない」
今回ご紹介するのは、図書室で本を借りたい1年生Aさん。でも、自分ではなかなか本を決められないご様子。
本棚の前でウロウロしているうちに、休み時間が終わってしまうこともしばしばでした。

先生〜!どれ借りたらいいの?



どんなものが好きなのかな?好きな動物とか、乗り物とかでもいいよ!



わかんない!!
あらあら、大変。自分でも何が好きなのか、どんな本が読みたいのかわからないようです。
そこで、一緒に本棚を眺めながら雑談をしました。
昔の給食と今の給食って全然違うね。どっちが好み?
こわい話平気?じゃあ、こわい絵本見たことある?
こんな感じて、本棚の本を指さしたり1冊抜き取ったりしながら、のんびりと図書室での時間を過ごすことから始めました。
積み重ねた小さな一歩
Aさんは努力家でした。
休み時間の間に、本を借りることができなくても、何度も何度も図書室に足を運んでくれました。
悩むというのも、なかなかにエネルギーを使います。
「休み時間の間に借りなきゃ!」と焦ると、なおさら良い本との出会いができなくなるので、ひとつずつ小さな目標を重ねることにしました。
好きな棚をさがせ!
最初にするといいことは、なんとなく魅力を感じる本棚選び。



ここにはこんな本がたくさんあるんだよ〜
と、簡単な説明をしながら数冊抜き取って表紙を見せる。これを繰り返すうちに、よく立ち止まる本棚が見つかります。
Aさんは絵本の棚にはあまり興味を示さず、3類「社会」の棚の前に立つことが多いことがわかりました。
Aさんも、「自分はここの棚が好きかも?」という雰囲気。
お〜!自分の好みを発見できたのってすごい✨
自分で本を手に取ろう!
好みがわかったらこっちのもの!
あとは、その本棚からとにかく面白そうな本を引っ張り出して〝表紙〟と〝最初の1ページ(物語であれば最初の1文〟を見ていくだけ😁
ポイントは「これがいいんじゃない?」と判断させるような声掛けは控えること。大切なのは



お?これ楽しそうかも。ちょっと中身見てみようかな?
と思えること。なので、もし声掛けするなら〝事実〟と〝主観〟を伝えるのがおすすめです。



▶︎この本は深海の生き物の写真がたくさんあるよ(事実)
▶︎私、この作家さんの挿絵が好きなんだ(主観)
そして、最も大切なのは、子どもが進んで本を手に取り始めたら声掛けは控えめにすること!
近いところでペラペラと本をめくったりしながら様子を見ているだけで大丈夫♪
もうここまで行けばゴールは間近です。
「1回の休み時間で選べたよ!
最初は本が選べなくてイライラしていたAさんですが、ある日ニッコニコで教えてくれました。



先生、1回の休み時間で本を選べたよ!
2冊。戦車の絵本と宝石の本にした!
うわぁ〜⭐️2冊を15分で選べたなんて、すごい!!
しかも、〝戦車の本は3類〟〝宝石の本は4類〟なので、本棚が跨いで選べています。なんという成長。
ちなみに、Aさんはこの後も順調に貸出冊数を伸ばし、年間貸出冊数優秀者に贈られる『ブックリーダー賞』を獲得していました。
おわりに
Aさんの成長は、司書先生として本当に嬉しいものでした。
ただ、1回自分で選べたあと、「ず〜っと自分選べたか?」というと、実は違います。そのあとも、何回か「選べない!いい本ない!!」とヘルプを求めてくることがありました。
そりゃそうです!だって、どんどん読みたい本を読んでいくのだから、魅力的な本は減っていきます(笑)
そんなときには、また同じ手順を繰り返して、新しい興味を広げたり、今までの興味をより深めたりしていきます。好きな本は何回読んでもいいんだよ!というアドバイス付きで。
ただ、最初と違うのは「どんな本があったら読みたい?」と聞くこと。
本選びが苦手な子が「読みたい!」と思える本は、他のお子さんにも刺さることが多いので、とても参考になるのです。そして、Aさんのリクエストで本を購入することは、Aさんの自信にもつながります。



Aさんが読みたいって教えてくれた本、私じゃなかなか思いつかないリクエストだったよ!とっても助かった〜❤️
借りてくれる人も結構いて、人気だよ!
Aさんは、今でも週に1回は必ずきて、本を借りていきます。
みなさんのお子さんも、実は教室以外でも成長しているかも?ぜひお話聞いてみてください♪
ではでは、本日の参観日はここまで!またぜひいらしてくださいね。お待ちしています✨
コメント